30秒でわかる結論
会社名は「派遣会社」。雇用主は派遣会社なので、派遣会社を親、派遣先を子にした構造で書きます。就業先ごとに入社・退社を並べると転職回数が水増しされて見えます。
契約満了は「契約期間満了により退職」と明記。書かないと自己都合の短期離職に見えます。
雇用形態の説明に紙面を使わない。見られているのは担当業務の中身です。
まず構造:雇用主は派遣会社、就業先は派遣先
派遣の職務経歴書がうまく書けない原因のほとんどは、書き方ではなく構造の取り違えです。雇用契約を結んでいる相手は派遣会社であり、派遣先は業務を行う場所です。したがって職歴の単位は派遣会社になります。
就業先ごとに「◯◯株式会社 入社/退社」と並べてしまうと、3年で5社を転々としたように見えてしまいます。実際には1社の派遣会社に継続して在籍していたにもかかわらず、です。正しくは次の形にします。
株式会社◯◯スタッフ(人材派遣会社) 2019年4月〜2023年9月
【派遣先】△△株式会社 経理部(2019年4月〜2021年3月)
従業員約800名/産業機械の製造・販売
・請求書処理(月間約400件)、経費精算のチェック
・月次決算の補助、会計システムへの仕訳入力
・部内の処理手順書を作成し、後任への引き継ぎ期間を短縮
【派遣先】□□株式会社 総務部(2021年4月〜2023年9月)
従業員約1,500名/情報通信サービス
・備品管理、契約書の保管と更新管理
・来客対応、会議室運用の見直し
この形にすると、在籍していたのは1社であり、その中で複数の現場を担当してきたという実態が正しく伝わります。派遣会社を複数経験している場合は、このブロックを派遣会社の数だけ作ります。
派遣先の社名は書いていいのか
原則として記載して構いません。派遣先が特定できたほうが業務のイメージが伝わり、応募先も評価しやすくなります。
ただし次の場合は社名を伏せます。
- 派遣会社との契約で、就業先の開示が制限されている場合
- 守秘義務に関わる業務(未公開のプロジェクト等)に従事していた場合
- 就業先から社名公開を控えるよう求められている場合
伏せる場合は空欄にせず、業種と規模で置き換えます。
【派遣先】大手電機メーカー(従業員約3,000名・東証プライム上場) 経理部
判断に迷うときは、派遣会社の担当者に確認するのが確実です。記載可否の基準は派遣会社によって異なります。
契約満了を不利にしない書き方
短い在籍期間が並んでいると、書類だけを見た採用担当者は「長く続かない人」と受け取る可能性があります。これを防ぐ方法は単純で、退職理由を一言添えることです。
| 書かないと | こう書くと |
|---|---|
| 2021年4月〜2022年3月 △△株式会社 → 1年で辞めた人に見える | 2021年4月〜2022年3月 △△株式会社(契約社員) ※契約期間満了により退職 → 期間の定めがある契約だったと分かる |
有期の派遣契約には法令上の期間制限があり、本人の希望と関係なく就業先が変わることがあります。プロジェクトの終了や部署の体制変更で契約が更新されないケースも同様です。これらは本人の勤続意思とは別の事情なので、事実として書いておくべきです。
逆に、自分から更新を断った場合に「契約期間満了」とだけ書くのは避けてください。面接で経緯を聞かれたときに説明が食い違います。その場合は「業務範囲の拡大を希望し、契約更新のタイミングで転職を決意」のように、事実に沿った書き方をします。
雇用形態より「業務の中身」に紙面を使う
職務経歴書で最も紙面を割くべきは、雇用形態の説明ではなく担当業務です。応募先が知りたいのは、入社後に何を任せられるかであり、その判断材料は業務内容と実績だからです。
書くときは、業務名を並べるのではなく、範囲と量が分かる形にします。
| 伝わりにくい書き方 | 伝わる書き方 |
|---|---|
| データ入力 | 受注データの入力(1日約150件)。基幹システムへの登録から出荷指示までを担当 |
| 電話対応 | 代表電話の一次対応(1日約40件)。取次先の判断基準を整理し、部内で共有 |
| Excelが使えます | Excel(VLOOKUP・ピボットテーブル)で月次報告資料を作成。手作業だった集計を関数化 |
数値は「盛る」ためではなく、業務の規模を示すために使います。正確な数字が分からない場合は「約」を付けて概数で構いませんが、事実と大きく乖離する数字は面接で崩れるため避けてください。
また、派遣・契約で複数の職場を経験していること自体は、立ち上がりの速さの裏づけになります。「着任から2週間で単独対応に移行」「引き継ぎ資料がない状態から業務手順書を整備」といった事実は、正社員の職歴では出てきにくい強みです。
就業先が多いときのまとめ方
派遣で10か所以上を経験している場合、すべてを同じ粒度で書くと読みきれません。応募先との関連度で3段階に分けます。
- 応募先に関係する就業先:業務内容と実績を3〜5行
- 同系統の業務:1〜2行で業務内容のみ
- それ以外:「ほか3社にて一般事務を担当」とまとめる
ただし派遣会社との在籍期間は省略しません。期間に空白があると、そこで何をしていたのかという疑問が生じます。就業先の間に待機期間があった場合も、派遣会社に登録・在籍していた期間として連続で書けば問題ありません。
職歴が多い場合の圧縮方法は転職回数が多い人の職務経歴書、履歴書側の書き方は履歴書の職歴が多い場合の書き方で詳しく扱っています。
履歴書側の書き方
履歴書の職歴欄も同じ構造です。派遣会社を「登録」または「入社」として書き、派遣先は職歴欄では省略するか、括弧で補足する程度に留めます。
2019年4月 株式会社◯◯スタッフ 登録(派遣社員として就業)
2023年9月 契約期間満了により登録終了
契約社員の場合は、会社名の後ろに「(契約社員)」と添えます。雇用形態を書かないと正社員として在籍していたと誤読され、後で事実確認の際に齟齬が生じます。
正社員だけが選択肢ではない
正社員転職を前提に書いてきましたが、働き方の希望によっては、無期雇用派遣や紹介予定派遣のほうが条件に合う場合もあります。
- 無期雇用派遣:派遣会社と期間の定めのない契約を結ぶ形態。就業先が変わっても雇用は続きます
- 紹介予定派遣:一定期間の派遣就業を経て、双方が合意すれば直接雇用に切り替わる形態。職場を見てから決められます
勤務地や勤務時間の条件を優先したい場合、正社員求人だけに絞るより選択肢が広がります。書類作成と並行して、どの働き方が自分の条件に合うかを確認しておくと、応募先の絞り込みが早くなります。
未経験の職種へ移りたい場合
派遣・契約で積んだ経験を活かしつつ、職種そのものを変えたいケースもあります。この場合、職務経歴書で示すべきは職種名ではなく、職種をまたいでも使える能力です。
たとえば事務職で培った「決められた手順を正確に回す力」「複数部署との調整」は、営業事務・カスタマーサポート・生産管理などに接続できます。求人票の要件を読み、そこにある言葉に自分の経験を翻訳して書くのが具体的な作業になります。
まとめ
- 職歴の単位は派遣会社。派遣先は子項目として並べる
- 派遣先の社名は原則記載可。伏せる場合は業種+規模で置き換える
- 契約満了は明記する。書かないと自己都合の短期離職に見える
- 紙面は雇用形態の説明ではなく業務内容に使う
- 就業先が多いときは応募先との関連度で3段階に圧縮する
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よくある質問
職務経歴書に派遣先の会社名は書いていいですか?
原則として記載して問題ありません。ただし派遣会社との契約で社名の開示が制限されている場合や、守秘義務に触れる可能性がある場合は「大手電機メーカー(従業員約3,000名)」のように業種と規模で表します。判断に迷うときは派遣会社の担当者に確認してください。
派遣の職務経歴書は派遣会社と派遣先のどちらを会社名として書きますか?
雇用契約を結んでいるのは派遣会社なので、派遣会社名を親の見出しにし、その下に派遣先と業務内容を並べます。派遣先ごとに入社・退社を書くと転職回数が実際より多く見えてしまうため、この構造にするのが実態に合います。
契約期間満了で退職した場合、どう書けばいいですか?
「契約期間満了により退職」と明記します。自己都合退職と区別されるため、短期間での退職が本人の意思によるものではないことが伝わります。有期契約は法令上の期間制限もあり、本人の希望と関係なく就業先が変わることは珍しくありません。
正社員経験がない場合、職務経歴書で不利になりますか?
雇用形態そのものより、担当してきた業務の中身と再現性が見られます。派遣・契約で任されていた業務範囲、扱っていたツール、年単位で継続してきた領域を具体的に書けば、経験として評価されます。雇用形態の説明に紙面を割きすぎないことがポイントです。
複数の派遣先で働いた場合、全部書く必要がありますか?
就業先が多い場合、応募先に関係する就業先を詳しく書き、それ以外は「ほか3社で同様の業務を担当」とまとめて構いません。ただし派遣会社との在籍期間そのものは省略せず、期間の連続性が分かるようにしてください。